
「ミセス クリスティーナ」vol.6
「チルキー!わたし社会を変えるわ!」
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ジーンに連れて来られたのはイギリスのロンドンだった。
クリスの生まれ育ったアマルフィの農村とは、比べものにならない街並みで道行く人は皆背広にハットを被り、髭を蓄えている。
クリスは、イギリス人に圧倒されながらも、これから起こる事に胸が高鳴っていた。
クリスは言った。
「ジーン、わたしは何の仕事をするの?」
「もうすぐ分かるわ。」
ジーンがチラッとクリスを見て言った。
それからしばらく走り、2人を乗せた馬車は、古めかしい二階建ての建物の前で止まった。
ジーンが言った。
「ここよ。」
クリスが降り立った古めかしい二階建ての建物の前には、大勢の人たちが並んでいた。
クリスはジーンに連れられて、並んでいる人たちの間をするりとすり抜け、二階の窓際の部屋に案内された。
どうやらここがジーンのオフィスのようだ。
ジーンが荷物を置くとクリスに言った。
「わたしの仕事は、イギリス各地の農産物をロンドン市場に集め、そこで販売する仕事よ。つまり、中間バイヤーよ。今、外に並んでいた人たちがそのバイヤー達。最近、彼らがまともに仕事をしてくれないから困ってたの。うまく仕事してもらってね。細かい仕事の流れは隣の部屋にいる「フーバー」に聞いてね。」
クリスは一連の内容はすぐに理解したが、まず何をやれば分からなかった。
「そうね!まずはフーバーに聞こう!」
クリスはジーンにあいさつをし、隣の部屋をノックした。どんな人だろうと心なしかソワソワしながらドアを開けた。
vol.7に続く